【第4期 6月定例会レポート】従業員に「届く」伝え方とは ~情報発信と社内コミュニティの活用法~
「仕事と介護の両立支援に取り組んでいるが、手応えが見えにくい」
「効果的な情報発信の方法、伝え方の工夫はあるんだろうか」
ECCクラブ・6月の定例会は、そんなお悩みに対するヒントが得られるよう、
「届く伝え方〜情報発信、社内コミュニティの活用法〜」をテーマに開催しました。
■見えづらい「予備軍」の不安
定例会ではまず事務局から、企業で働く方約4万人を調査した『ビジネスケアラー白書2025』(チェンジウェーブグループ発行)のデータを紹介しました。
調査によると、実際に介護中の社員よりも、
「いつ始まるかわからない」切迫層が最も強い不安を抱えており、
全体の86%が何らかの不安を感じているとのこと。
介護中の社員は、心理的な負担が大きい
予備軍(まだ介護が始まっていない)社員は「何から始めたらいいのかわからない」という漠然とした悩みを抱えている
という傾向も見えました。
職場では「離職者はいない」状態であっても、社員の内面では“すでに始まっている(が、気づいていない場合もある)”課題なのです。
■企業の取り組み事例:情報発信とコミュニティの両輪
続いて、日立ソリューションズとソニーピープルソリューションズの2社より、
社内での情報発信やコミュニティ運営の先進事例をご紹介いただきました。
日立ソリューションズの取り組み
- 全社的な仕事と介護の両立支援プロジェクト
- 社内トークライブや講演会を実施。当事者の経験談に加え、経営層が自分の経験・想いを話してくれたことは強いメッセージとなった。
- 社内コミュニティの形成により、リアルな体験と介護にまつわる情報を共有。
- 取り組みを社外に向けても発信することで、社内の意識改革に波及。
「社員から“聞き飽きた”と言われるくらい継続して、ようやく伝わり始める」
というご担当者のコメントが印象的でした。
継続的な発信の大切さ、また、社外への発信も上手に活用されていることを強く感じさせる事例です。
ソニーピープルソリューションズの取り組み
- 独自の休暇制度や相談窓口の整備
- 社員主体の介護雑談会をオンラインで実施。人事はあえて介入せず、自然な交流を促進。
- 人事は必要に応じて当事者に寄り添えるよう、コミュニティと“ゆるやかにつながる”距離感を意識。
両社に共通していたのは、
基礎的な情報発信を継続しながら、社員同士が気軽に「話せる」場づくりをしていくことが核になっているという点でした。
とは言え、人事部門の負担があまり大きすぎると継続性に関わるのでは、といった質問に対しては、何のためにやるのか、という目的はきちんと置く、という大前提がありながらも「無理に活性化しようと思わない」「ふと、話したいと思ったときに場がある、ということが大切では」といった意見が出されました。
■情報発信とコミュニティのヒント
両社の事例からは、
企業が介護に関する情報発信を行うだけでなく、社員同士が交流できるコミュニティ~何かあったら話せる場~が意義を持つことが伝わってきました。
健康経営度調査(大規模部門)の項目にも、
「介護経験者と未経験者がコミュニケーションできる場を設けていること」があげられており、職域支援の1つとして検討に値する取り組みです。
社によって状況は違うものの「見せ方、伝え方を変えながらも、とにかく継続していく」
「話していい」という環境づくりのために発信内容を工夫する、という意見が多く出たことが印象的な定例会でした。
ECC Clubでは今後も、企業同士の学び合いを通じて、現場に根ざした取り組みを広げてまいります。
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